月10時間を取り戻した。n8nで「やめた業務」の話
毎週月曜日の朝、私は同じ作業に2時間を費やしていた。
スプレッドシートから顧客データを抽出 → Slackに投稿 → メールで通知 → 別のツールに記録。これを手作業でやっていた。月に直すと約10時間。年間120時間。人生で5日分。
それがn8n(ノーエイト・エヌ)という自動化ツールで完全に消え去った。
いや、正確には「消え去った」というより、パソコンが夜中に勝手にやってくれるようになった。朝起きたら全部終わってる。そんな世界。
正直、最初は「こんなのできるわけない」と思ってた。でも今は月10時間の自由時間が生まれて、その時間で新しい事業まで始めてる。
その話を今日は全部お話しします。
ビフォー:時間を溶かす毎日の業務ループ
当時の私は、某SaaS企業でマーケティング業務をしていた。一見、デスク仕事は楽そうに見えるかもしれない。でも現実は違った。
毎週月曜朝8時。目が覚めると同時にやることは決まっていた。
顧客管理ツール(Notion)から前週の新規顧客データを手でコピペ → スプレッドシートに貼り付け → データをソート・整形 → Slackの営業チャンネルに投稿 → さらにメールで営業チームに個別通知 → Google Sheetsのログシートに記入
これを毎回120分かけてやってた。
「別に難しくないし」と思ってた時期もある。ただ間違えるんだよ。人間だから。月に2~3回は数字を打ち間違えたり、投稿忘れたり、メール送信漏れがあった。すると営業チームから「あれ?データ来てない?」という連絡。また往復メール。また修正作業。
そして最悪なのは、この作業が「定型業務」だから絶対になくならないこと。毎週月曜朝が来る限り、このループは永遠に続く。
年間52週 × 2時間 = 104時間。
これって実は、プロジェクト仕事だったら大型案件が一個完結する時間なんだよ。それを毎年、同じ作業に消費していた。
その時間が積み重なると、心にも来る。「なんでこんなことしてるんだろう」っていう無力感。効率化できてない自分への嫌悪感。
営業チームのためには必要な作業だけど、私自身のキャリアには何も残らない。そういう仕事、ありますよね。
転機:「自動化できるはずなのに…」の違和感
転機は、ある営業担当者のオフィス立ち寄りから始まった。
彼は、自分の営業活動を大幅に自動化していて、毎日15分のルーティンで月の案件を80%カバーしていた。聞くと「Zapierとか使ってます」と言った。
「え、営業でそんなことできるの?」
それまでの私の認識では、ツールを組み合わせる = エンジニアの仕事。自分には関係ない世界だと思ってた。
でも彼の話を聞いてると、実はそうじゃない。「ノーコード」という、プログラミングしなくても自動化できるツールが存在する。Zapier、Make、IFTTT…そしてn8n。
「あ、俺の月曜朝の作業も、これでいけるんじゃ…」
その夜、ベッドで真っ暗な天井を見つめながら、YouTubeで「n8n 自動化」って検索した。
動画を見て、さらに調べて、チュートリアル記事を読んで。
「いける。これ、絶対いける」
その確信が、私を動かした。
翌日、n8nの公式サイトに登録した。無料プランで試せるということに、心が決まった。「とりあえずやってみよう」という、その一歩が全てだった。
プロセス:ノーコード初心者が組んだ自動化フロー
n8nに登録してから、最初の1週間は本当に試行錯誤だった。
ステップ1:何を自動化するかの整理
まず、月曜朝の業務を細かく分解した。
– 「Notionから新規顧客データを取得」
– 「データをスプレッドシートに追記」
– 「Slackに投稿」
– 「メール送信」
– 「ログを記録」
これらをn8nのワークフローで組み立てる。各ステップが「ノード」という小さな処理単位になる。
ステップ2:実際に組み立てる
n8nのダッシュボードを開くと、ビジュアルエディタがある。ドラッグ&ドロップでノードを配置していく。
まず「Notionトリガー」を配置。「毎週月曜朝7時に起動」という設定をした。
次に「Notion データベースから新規顧客を取得」というノード。ここでNotionのAPIを接続する。
さらに「データ変換」ノード。取得したデータを、スプレッドシートのフォーマットに合わせて整形する。ここは少しJavaScriptのコードが必要だったけど、ChatGPTに「n8nでこういう変換をしたいんだけど」と聞いたら、すぐにコードをくれた。
それを「Google Sheets」ノードに繋ぐ。「このスプレッドシートのこのシートに、このデータを追記して」という設定。
次に「Slack」ノード。スプレッドシートに追記したデータをSlackのメッセージに整形して、営業チャンネルに投稿。
その並列で「Gmail」ノード。営業担当者全員にメール送信。ここは「営業チームのメールアドレスをNotionから自動取得 → ループで一人ずつメール送信」という処理。
最後に「Google Sheets(ログ用)」ノード。このワークフロー自体のログを記録。「実行時刻」「取得件数」「エラーの有無」などを自動で記入。
全部で7つのノード。線で繋いで完成。
ステップ3:テストと調整
作ったのはいいけど、いきなり本番は怖い。本番データで何回かテストラン。
すると気づく。「あ、ここで件数がゼロになってる」「このメッセージフォーマット、ちょっと見づらい」「メールが営業全員に送られるけど、新入社員にはまだ送らない方が…」
そういう細かい調整を3~4日かけてやった。
条件分岐を追加したり、メッセージテンプレートを修正したり。
ステップ4:本番運用開始
テストで成功を確認したら、いよいよ本番。
翌週の月曜朝7時。
私は普通に起床。コーヒーを飲んで、メールチェック。
あ。
既に営業チャンネルに、データが投稿されてた。
スプレッドシートを見ても、新規顧客データが追記されてた。
営業チームに「おはようございます。先週の新規顧客一覧です」ってメールが来てた。
全部。自動で。終わってた。
その朝、私は「何もしない」という選択ができた。正確には、確認するだけ。確認して「いい、これでいい」ってOK出すだけ。
その時間、5分。
壁:「うまくいく」の先にある落とし穴
ただ、ここまで順風満帆じゃなかった。
問題1:データの不整合
2週間目。Notionの仕様が変わったらしく、取得するデータが一部おかしくなった。スプレッドシートに「###」(セルの幅オーバー表示)が大量に入った。
原因は、Notionのデータベースが更新されて、フィールド構造が変わってたから。n8nは古い構造で読み込もうとしてエラー。
解決法は、n8nの「Notion」ノードを開き直して、「フィールドを再認識させる」という操作。ワンクリックで済んだ。
ただ、問題は「気づくまでの時間」。営業チームから「データおかしくない?」って連絡があって初めて気づいた。
そこで学んだのは、自動化ツールは「セットして放置」じゃなくて、「定期的な確認と調整が必要」ということ。
問題2:ツール連携の限界
3週間目。「メールじゃなくてLINE Workersにも送りたい」という要望が出た。
n8nでLINE Workersを連携させようとしたけど、プリセットのノードが限定的で、カスタマイズが必要だった。
ここで初めて「コード」を書く必要が出た。n8nの「Function」ノードでJavaScriptを使って、LINE WorkersのAPIに直接リクエストを送る処理を作った。
難しかった。正直、エンジニアじゃない私には「API」「認証」「リクエスト形式」とか、全部チンプンカンプン。
でもChatGPTに「n8nでLINE WorkersのAPIを叩きたい」って聞いたら、テンプレートコードをくれた。コメント付きで。
30分で完成した。
問題3:ツール間の「遅延」
最大の問題は、ツール間の処理時間。
Notionからデータ取得 → スプレッドシートに追記 → Slack投稿 → メール送信。
全部で1~2分かかる。その間に営業チームが別の手段でデータを取得してしまうケースが出た。「データが重複した」という。
解決法は、設定の透明化。「毎週月曜朝7時ちょうどにn8nが実行される」ということを、営業チームに伝達。「その時間は待ってて、7時15分には全部届く」と。
コミュニケーション。結局、ツール以前の人間の問題だった。
アフター:月10時間が生まれた世界
現在、月曜朝の業務は完全に自動化されている。
私は何もしない。
かかる時間は、週1回・5分の確認のみ。
月に20分。
それだけ。
生まれた時間は、月約10時間。
その10時間で、私は何をしたか。
最初の2ヶ月は、正直なところ「やることがない」という不安感があった。余った時間って、つい別の作業に埋めてしまうんだよ。Slackチェックしたり、メール返信したり。
でも意識的に「これは自分の時間」と守った。
その時間を使って、私は副業を始めた。
「n8n導入支援」というサービス。
他の企業から「うちも業務を自動化したい」という依頼が来るようになった。月3~5件。月に5~10万円の追加収入。
最初は同じ企業内の他部門から。「マーケティング部が自動化してるらしい。うちの事務作業も何とかならない?」って。
次に、取引先企業から。「御社の営業担当者が、営業活動を半自動化してるって聞いたんだけど」って。
そして知人を通じて、外部企業から打診が来た。
その全部が、月曜朝2時間を手放したことから始まった。
だから、この10時間の価値は単なる「時間」じゃない。その10時間で新しいスキルを習得して、新しい収入源を生み出す時間になった。
スキル → 収入 → さらに新しい時間。
好循環が生まれた。
学び・教訓:本当に大事だったこと
この半年の経験から、気づいたことがある。
1つ目:「難しい」は思い込み
n8nを始める前、私は「自動化ツール = エンジニアのもの」だと思ってた。
でも実際には、ノーコードツールの進化が凄くて、プログラミング知識ゼロでも、ほぼ80%のビジネスプロセスは自動化できる。
残りの20%は、ChatGPTとGoogle検索で補える。
「自分には無理」って思ってることの大半は、実は単なる「未経験」なだけ。やってみたら意外とできる。
2つ目:「自動化できる業務」は意外と多い
月曜朝の2時間が自動化できたから、他の業務も見直してみた。
すると、毎日やってる作業の30%くらいは、自動化できそうだった。
日報作成 → 自動。
メール分類 → 自動。
スプレッドシート転記 → 自動。
重要なのは「完璧さ」じゃなくて「80点で十分」という感覚。全部を完璧に自動化しようとすると、ツール設定に時間がかかりすぎて本末転倒。
「80点でいいから、手作業を減らす」という割り切りが大事。
3つ目:「浮いた時間」をどう使うか、が本当に大事
ここが最重要。
自動化するだけじゃダメ。浮いた時間を何に充てるか。
浮いた時間を、またスマホ見たり、別のメール作業に使うんだったら、本当の意味で「得」じゃない。
でも、その時間を使ってスキル習得したり、新しいプロジェクトやったり、ビジネス開発したりするんだったら、話は変わる。
時間 → スキル → 収入 → さらに時間。
このループが大事。
読者へのメッセージ
もし今、あなたが「毎週同じ作業をしてるな」とか、「月に何時間も消費してる業務がある」って思ってるなら、一度本気で向き合ってみてほしい。
その作業は、本当に「人間がやる必要がある」のか。
「やってみたら自動化できた」というケースって、想像以上に多い。
n8nじゃなくても、Zapier、Make、Automation Anywhere…いろんなツールがある。
試すのに大きなコストはない。無料プランで触ってみて、「いけそう」なら導入する。
その決断が、あなたの人生に月10時間を返してくれるかもしれない。
それは、年間120時間。
5年で600時間。
人生で2週間分の新しい時間が生まれる。
その時間で何をするか。
その選択肢が、あなたの人生を大きく変える。

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